フォトグラムについて
2025年に大丸札幌店の個展の際に作成いただいた動画を紹介がてら、近年私が取り組んでいる植物のフォトグラムについて少しまとめてみます。
写真の先駆者の一人であるウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットは、1830年代に「フォトジェニック・ドローイング」という技法を生み出しました。
彼は、硝酸銀を塗った紙の上にレースや植物を置き、太陽光にさらして影を定着させました。有名なものに「シダのフォトグラム」があります。カメラを使わない写真、つまりフォトグラムの原点といえます。
私は近年、帰化植物の記録をするための適切な方法を検討しており、植物のクローズアップ撮影はもとより、標本の作成、樹脂による模型化、塗料による版画などを試しながら作品化してきました。
そうした経緯のもとで写真として適切な記録の手段として、直接的には版画の延長線上としてフォトグラムに着地しました。最も原始的なフォトグラムという方法は、今や使い古されたオルタナティブな手法に分類されるものです。ですが、それのもつ意味を再度見つめ直して用いること、風景との関連において植物のフォトグラムを風景写真と並列に展示することは、風景と植物というそれらの親密さを表すうえで有効であると考えました。
カメラ(レンズ)を通すと景色は逆さまに投影されますが、フォトグラムはモノを紙にピタッと置くため、モノの形や質感がダイレクトに(実寸大で)転写されます。北海道の帰化植物の図鑑を作る意図において、「直接」「実物大」であることは、植物をフォトグラムで記録する点において重要な要素です。
フォトグラムは植物の形を正確に写し取る「記録」の手段であり、光源として生息地の光を用いることは像の根拠として適切です。
映し出された像は影から派生したポジ像であり、リフレーミングとも表現することも検討しています。
漢字で他から加わって多くなるのは「増」えると書き、そのもの自体の力によって多くなるのは「殖」えると書きます。増えた結果、殖えている世界が現代の北海道として成立しています。
近代以降の北海道の風景をテーマに、そんなことをしながら植物の記録と、それが生息する入植地の写真を組み合わせて、「殖物の歴史」というシリーズによって記録をしています。
動画を作っていただいた展示について
2025年8月に大丸札幌店CAI04にて開催させていただいた野菜のフォトグラムで構成する個展に際して作成いただきました。
展示から時間が経っていますが自分の考えを簡潔に整理した動画を作成いただいたので、お時間ありましたらご覧ください。
動画の共有が遅くなったのは、自身の姿がむず痒く客観視できなかったからです。

