入植地 / settlement
帰化植物 / naturalized plant
帰化植物の生息地 / naturalized plant habitat
「殖物の歴史」
明治政府の開拓政策により北海道には島外から多くの人々が移り住みました。長く先住民が暮らしている島の全域に、居住地を追われたり、新天地を求めたりして、それぞれの事情に応じた人々が北海道に入植しました。私の先祖の一部も該当します。
人の移動とともに多くの植物も海を渡りました。代表的なものにセイタカアワダチソウ、オオハンゴンソウ、フランスギクがあります。それらは外来種に分類されます。外来種は集落や近隣の道路沿いに根を下ろしました。環境に適合できたものは帰化し、繁殖を繰り返しています。
北海道には、岩見沢市栗沢町の岐阜、室蘭市の香川、虻田郡豊浦町の山梨など日本各地の地名が点在します。大半は入植者の故郷に由来します。そうした土地では光と風と土に育まれた帰化植物が、毎年艶やかな花を咲かせます。たとえそこが無住地となり、人が暮らした痕跡が失われていても、帰化植物は繁殖し続けています。
外来種が繁殖する景観の写真を見て「北海道らしくない」と誰かが呟きました。もしかしたらそれは原産地の景色に似ているのかもしれません。北海道における帰化植物を入植のアレゴリーとして重ねることで、眼の前に広がる風景はこれまでとは異なる視座を与えてくれます。