北海道の片隅にある、相反する二つの要素を分け隔てている「人の谷」を撮影しました。崇高なるものと世俗的なものとが両立し調和していて、体験と認識との隙間に横たわっている様でした。言葉の外側に佇み、超越的とも言いえる距離感によって均衡を保っていると感じました。そこは以下の特徴がありました。
・相反する性質の両岸を深く分け隔てている
・周囲より一段低く窪んでいる
・水の通り道として機能しており、縦に細長く伸びている
・日陰になっていることが多い
・一定の湿度が維持されている
・地形的特長により入ると容易に抜け出すことはできない
・透明な秩序に守られている
ひとつの寓話として「人の谷」は論理的に成立し、経験が認識に埋没する時、人は気付かず引き寄せられるようにそこを訪れているのかもしれません。